2012年1月20日金曜日

第四章 排出は、エネルギーを生む 8排出の医学・アーユルヴェーダ

南の島スリランカ

2,010年春、私は、南の島スリランカにアーユルヴェーダを学びに行きました。インドでなくスリランカです。特別スリランカでなくてはいけないとか、アーユルヴェーダでなくちゃダメと云う思いはなく、天が用意してくれたかのように導かれるままに其処に至りました。

一年中、春と夏しかないスリランカ。特にキャンディなどの高地に行くと、暑さもあまり感じず、仏教徒のシーハラ族の人達に囲まれていると、心の豊かさを感じ、日本を忘れここにずっと住んでいたいという気になります。ところが、この土地は、そういった心地よさだけではない、30年の内戦と、スマトラ島沖地震の津波。毎年のように起こる水害。植民地時代からの貧困という山積みの問題に遭います。私のアーユルヴェーダの師、ペレラ博士は云います。“麻緒、バランスだよ。何事もバランスなんだ。バランスを取るためにスリランカには苦があるのだよ”と。四季が有り、自然のバランスが絶妙に良い日本人に“我々、スリランカを助けてほしいんだ。ジャパニーズアーユルヴェーダを目指すんだ麻緒”と。

私は、他国に行って初めて、日本という場所の豊かさを再認識し、自然におけるエネルギーバランスの良さを実感するのです。

スリランカの地を訪れる事がきっかけになり、“アトピーは、身体と心のエネルギーバランスが、天災地のように不安定になっている”と云う事に気づきます。これは、単なるアトピーという病気と云う捉え方だけでなく、社会現象であると云うことにも…。現在の日本には、国民の70%が仏教徒であるスリランカのような、心の穏やかさ、豊かさを何処かに置き忘れていますから、今は自然界のバランスが取れていても、心のバランスが取れない。生活スタイルが邪魔をしています。そこが一番、エネルギーの不循環を起こしていると云うことに、気が付かなければ、心の平安や安住に、大きな得策は無いといっても過言ではありません。



アーユルヴェーダの本質

アーユルヴェーダとは、サンスクリット語で、Ayurアーユルは、続けて動く、生命。Vedaヴェーダは、知る、真の知識。と云う意味で、生命を守る聖なる知識を表します。古代の有名な四大聖典、“リグ・ヴェーダ”“ヤジャル・ヴェーダ”“サーマ・ヴェーダ”“アタルヴァ・ヴェーダ”があります。また、アーユルヴェーダの三大医学書として、「チャラカ・サンヒター」は、内科学と医学原理。「スシュルタ・サンヒター」は、外科学。「アシュターンガ・フリダヤ・サンヒター」は、両者の心髄で、フリダヤとは心臓のことが書かれています。

アーユルヴェーダには、

1健康な人の健康を保護すること。

2病気に陥った人の病気を取り除くこと。

と云う2つの目的があります。また、たんなる医学ではなく、人間を宇宙の中に位置づけ、宇宙と人間の関係に独特の思想(大宇宙と小宇宙)を持ち、自然の森羅万象の変化を観察しながら、その関係の法則性を明らかにしています。身体面だけでなく、精神的、霊魂的側面を考慮したホリスティックな学問です。

スリンランカのアーユルヴェーダ医学は、仏教国の為か、5,000年と云う古代アーユルヴェーダ思想の為か、魂のことがいつも一番です。スリランカのアーユルヴェーダ医学は病気治しの方法論よりも、魂を如何に磨くかを説きます。またそれがアーユルヴェーダの本質なのでしょう。



エネルギーの滞り(ドーシャの滞り)

アーユルヴェーダでは、人の身体や心を動かすエネルギーのことを「ドーシャ」と呼びます。ドーシャは、3つあり、

   ヴァータ(ワータ)=風を表し、知る、動く、取得するを意味します。

   ピッタ=火を表し、燃やす、暖める、支配するを意味します。

   カパ(セマ)を表し、結合する、接合する、抱擁するを意味します。

エネルギーの滞り(ドーシャの滞り)には、この3つの要素があり、珍しい事ですが、3つ兼ね備えたバランスの持ち主もいて、その状態をトリドーシャと云います。トリとは、3つ。ドーシャとは、腐敗させるもの、悪化させるものと云う意味ですが、トリドーシャは、本来バランスが非常に取れている状態なので、崩すとエネルギーが全開になり大変な事になります。

ドーシャは、舌や目を見たり、問診や脈診によって判断されます。ドーシャのバランスは、日々変化しますが、個人のもって産まれた性質としてのドーシャは一生変わりません。

また、この産まれ持った性質としてのドーシャをプラクリティ(人間の体質=本来の自分)と云い、プラクリティが乱れてバランスを失うことをヴィクリティ(本来の自分を失った状態)と云います。

またアーユルヴェーダは、精神的な気性をグナと云う3つに分けています。

その3つのグナの基本的性質は、

   サットヴァ=本質、理解、純粋、清浄、同情、愛情で、健全な肉体で行動や意識は純粋です。

   ラジャス=行動、攻撃性、外向性で、ビジネスや繁栄、名声、地位に関心があり富を楽しみ政略的です。

   タマス=無知、怠慢、鈍重さで、利己的で容易に他人を傷つけます。

アトピーな人は、ヴィクリティで、ラジャス傾向な人と云えます。また、基本的にドーシャの状態が、ヴァータ気質ですが、時期や状態によって、身体の中のIgE抗体が働くと、プラクリティが不安定になり、時折トリドーシャの様な脈を打ち、心身のバランスを崩した状態になります。



パンチャカルマという解毒法

アトピーの表面の皮膚がカサカサして乾燥するのは、不毛の地帯に瀕死の状況で皮膚が再生されるために沢山の水が必要になっている状況ですが、真皮層に至る内部は、代謝が悪く排毒されにくいため、水毒がたまりやすくなっています。

アーユルヴェーダでは、代謝における触媒の働きの事をアグニと呼び、このアグニが、健康と病気を分ける鍵を持っていると云われています。アグニが上手く働かないために、水毒がたまりやすいアトピーは、質の悪い水分の取りすぎに注意させますが、あくまでも水毒になる様な水という事です。本来、生きた自然な岩清水等、一定の圧力がかかった水は、分子が一分子になり、分子同士がくっ付かないので、水分子が揺れ続ける為、腐りにくく、水毒にはなりにくいのです。

方法としてアーユルヴェーダでは、朝一番に、食事をせずに、体液に近い温度の白湯を1~2ℓ近く取り、ヨガ等で代謝を高め汗をかき、排毒させます。排毒できる身体に戻ればアトピーは治ります。アトピーどころか、健康体ですから、どんな病気にもなりません。

基本的にアーユルヴェーダでは、ドーシャの状態に合わせて、5つのパンチャカルマと云う解毒法が施されます。パンチャカルマを行うと、

1自分に自信が持てる

2頭脳が明晰になる

3リラックスする

4薬物への依存が無くなる

5生活習慣が改善される

と云われています。方法は、

  1経鼻法 けいびほう

  2催吐法 さいとほう

  3瀉下法 しゃげつほう

  4浣腸法 かんちょうほう

  5瀉血法 しゃけつほう

で、このパンチャカルマを行う前処置として、オイルを使う油材法とスチームを使う発汗法を行います。

排毒される毒素も、未消化物をアーマと云い、排泄物や老廃物をマラと云って分けています。



世界最古の生活の智慧

 南インドから伝わったスリランカのアーユルヴェーダは、地域社会の中で、生活の智慧として、アーユルヴェーダ医師である“ヘラウェダカマ”という伝承医療が、親子代々、伝承され、地域の良き理解者になっていったのです。その数はなんと数千人にわたると云い、各々の家に伝わる秘薬オイル等があります。その伝承される秘薬の調合や治療法は、“オーラリーフ”と云うココナッツの薄い皮に書かれています。“オーラリーフ”に書かれた文字は、彫り込まれた文字にインクが染みていて、消えることがありません。書かれた書物は、3,000年以上たっても原型のままです。スリランカの国立研究所に運ばれているその書物の数だけでも圧巻です。そんな古書を目の前でこの手で触ったのですから、神様の魂が乗り移ってくださったのでしょうか。スリランカ滞在中は、心地よくいつも見守られていた感じで学ぶことが出来ました。

 何れにしても、アーユルヴェーダ医学は、世界最古であり、ユナニ医学、チベット医学、中医学、東洋医学、西洋医学等全ての医学の原点であることは間違いありません。


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